いろいろな事があるんだね

社会、経済、身の回りについて思考する

アップルの音楽聴き放題の対価に対する米人気歌手の批判

 

米アップルは6月22日、6月30日に始める定額料金で音楽聴き放題のサービス「アップ

ルミュージック」で、登録後三か月の無料視聴期間中、当初、アーティストにその対

価を支払わない方針でしたが、米人気歌手のテイラー・スウィフトさんからそれは

「不公平」との批判が出て、方針を転換し、アーティスト側に一定の対価を支払うこ

とにしました。

 

当初、アップルでは無料期間中の支払いがない契約を音楽会社と結んでいたようです

が、スウィフトさんから「無料期間中に対価を支払わないのはがっかりした。新進の

音楽家にとって三か月支払いがないのは厳しすぎる」とアップルを非難していまし

た。この後、独立系を中心に他のアーティストからも次々と賛同の声が上がり、アッ

プルは方針を転換せざるを得なかったようです。

 

しかし、音楽家はこれからもしかすると受難の時期を迎えるかもしれません。音楽の

聴き放題のサービスは何もアップルのみならず、ストリミングによるスポティファイ

など、サービスが乱立していて、それも格安での聴き放題ですので、アーティストの

作品に対する対価は、CDで音楽を聴くことが普通であった時代の巨額の著作権料が入

った時代に比べると、音楽配信サービスによる対価はかなり低額になること必至で

す。

 

だからと言って音楽家、つまり、アーティストを目指す若者が減るかといえば、そん

なことはなく、このネットの時代、誰もがアーティストとして作品をネットにて配信

することが可能になり、プロとアマチュアの壁がなくなると思います。その中で生き

残る作品のみが時代を超えて聴かれる筈で、これは何も音楽家に限った話ではなく、

作家や新聞記者など、誰もが発信できる時代の中で、媒体が大きく変わる転換点を迎

えていて、それに揉まれながらも、多くの人に支持されるものが生き残ってゆくとい

う過酷なネット時代を迎えたと言えます。

沖縄慰霊の日

 

6月23日は第二次世界大戦での沖縄戦が沖縄糸満市で事実上終わった日として沖縄では

毎年「慰霊の日」として二十万余りの戦没者を悼んでいます。そして、今年は戦後七

十年という節目を迎えました。

 

この慰霊の日の式典では翁長雄志沖縄県知事が「平和宣言」としての演説で沖縄県

護市辺野古への基地移設問題に半分以上を費やし、また、式典に出席した安倍晋三

相とはわずか五分の会談ということで、沖縄と日本本土との溝の深さを浮き彫りにし

ました。

 

沖縄では「自己決定権」という言葉が躍っているようです。つまり、それは、沖縄の

ことは沖縄の人が決めるという余りに楽観的な希望なのです。その中で、沖縄独立論

も再び頭を擡げているようで、それは沖縄以外の場所から眺めるといかにも甘い「幻

想」にしか思えないのです。確かに、第二次世界大戦末期、沖縄は、米軍の「気まぐ

れ」にも思える作戦で、日本本土の「捨石」となり、沖縄の住民の四人に一人が亡く

なるという多大な犠牲を出した凄惨な戦闘としてその歴史は語られなければなりませ

ん。しかし、だからと言って遠い昔の琉球王朝の繁栄していたときの郷愁で、沖縄独

立論を語るのであれば、それは沖縄争奪戦の始まりになり、日米中の思惑に今以上に

翻弄される沖縄の有様が目に浮かびます。つまり、沖縄は沖縄による自己決定権が、

あるようでいて、現状では無きに等しいのです。それは、沖縄の人々にとっては大い

なる憤懣に違いありません。それを知ったうえで沖縄の置かれている現状を俯瞰的に

語ると、現在、沖縄は対中国の防波堤なのです。日本にとっても、米国にとっても沖

縄は対中国の最前線で、その情勢から沖縄がのがれることは現状ではないのです。

と言いつつ、個人的には沖縄の人々が口にする独立論には賛同しない訳ではありませ

ん。日米中のいづれにも属さずに沖縄が立てるのであれば、それは沖縄が日本から独

立をするのも悪くないかもしれません。しかし、多くの米軍基地が置かれている現状

で、沖縄が独立を語るのは、米国を敵に回すだけで、それは、沖縄の未来を自らの手

で摘んでしまう行為に他ならないと思います。

骨太の方針と成長戦略

 

政府は6月22日、日本のこれからを見つめての骨太の方針成長戦略の素案をまとめま

した。それによるとロボット開発やビッグデータへの投資を企業に促すことや、地方

経済や中小企業にも改革を求めているのが目につきます。

 

これから人口減少が急速に進む日本において、生産性の向上は喫緊の課題で、安倍晋

三政権は経済成長を推し進めることで、労働力不足を補うことのようです。

 

安倍首相は22日、産業競争力会議で「成長戦略は新たなステージに入る」と宣言し、

アベノミクスの軸をデフレ解消から人口減少による労働力不足を補うことに移しまし

た。また、経済財政諮問会議では現在一%に満たない潜在成長力を二%程度を上回る

成長に高めてゆくことを訴えました。

 

過去二回の成長戦略は農業、労働、医療の三分野の規制改革や、企業の国際競争力

高めるのに不可欠な法人税の引き下げの敢行でした。そして、今回は「生産性革命を

実現する」と述べています。

 

その回答としての素案ですが、そこにはロボット開発を始め、あらゆるものをインタ

ーネットで繋ぐIoT(インターネット・オブ・シング)、ビッグデータの活用強化が目玉

となっています。ITの進展で産業や就業構造を変える「第四次産業革命」を世界に先駆

けて起こしたいようです。これはドイツが既に行っているものを踏襲していますが、

しかし、日本の個々の企業では第四次産業革命と言われるものの手練手管は手中にし

ていて、後は、どのように企業間の連携を図るかだけまで、日本の企業は狡猾に将来

の準備を進めています。それに関してようやく政府が音頭を取る形で推し進めること

になります。

 

産官学が連携し、また、米国のシリコンバレーに日本から二百社を派遣し、新産業の

創出に繋げたいとしています。

 

また、大学改革も同時に推し進め、世界の大学と互角に渡り合える教育・研究水準を

誇る「特定研究大学」制度などを創設し、人材の育成にも力を入れます。そして、地

方に関しては「ローカルアベノミクス」と銘打ち、地方経済の変革も促すようです。

 

ともかく、日本企業の生産性の向上と、第四次産業革命に乗り遅れないようにするこ

とがこれからの日本の生き残る道と言えます。IoTのような日本の得意分野とも言える

産業の創出で他国を凌ぐほどに日本企業が大活躍すれば、現在よりも「希望」がある

未来が待っているのかもしれません。

国会会期延長

 

国会は6月22日の衆議院本会議で、24日までの会期を9月27日まで95日間延長すると与

 

党などの賛成多数で議決しました。これは国民に不評な安全保障関連法案を何として

も今国会で成立させるための会期延長なのです。たぶん、安倍晋三首相にとってはこ

の安全保障関連法案の成立は、政治信条の一つなのは間違いないと思います。それが

安倍首相が言う「戦後レジームからの脱却」なのかどうかは解かりませんが、たと

え、国民の支持を失っても、この安全保障関連法案は成立させる筈です。

 

報道によれば、安倍首相は当初八月上旬までの延長を望んでいたようで、しかし、来

夏の参議院選挙を控えていることから、国民に対して「丁寧な議論」を求める与党に

配慮したため、会期が95日間と最長の延長となったようです。

 

例えば、衆議院憲法審査会で憲法学者が安全保障関連法案を「違憲」と指摘し、それ

に乗じて野党の反対論に勢いがついたために、安全保障関連法案の先行きの見通しが

見えなくなっています。世論調査でも、国民の過半数はこの安全保障関連法案、特に

一部とはいえ集団的自衛手権の行使の容認に関して慎重な見方を示しています。

 

しかし、安倍首相はこの安全保障関連法案と心中覚悟で何としても成立させることを

目指し、また、日本の生き残る道はこれしかないと思い詰めているようにすら見える

のです。国民の顔色ばかりを窺っていては悪しきポピュリズムに政治が陥りますが、

この安全保障関連法案は、今後、日本が世界でどのように生き残るのかを決する重大

な問題なのです。これは、しかし、決して「戦争法案」ではなく、日本の安全保障を

これからどう構築するのかを安倍首相は国民に問うているのです。それに対して国民

は真剣に応えなければなりません。

ギリシャ問題続報

 

ギリシャ支援の再開を巡るギリシャ欧州連合(EU)との交渉は六月末の最終合意に向

けた動きが全く読めなくなり、懸念が広がっています。ユーロ圏十九か国の財務相

ルクセンブルグで6月18日に開いていた会合が何の進展もないまま終了したためです。

EU側としては22日にブリュッセルで緊急ユーロ圏首脳会議を開催して、ギリシャとの

政治決着を目指すことになりましたが、ギリシャとの合意に至るのかは全く解かりま

せん。

 

ユーロ圏財務相会合のディセルブルム議長(オランダ財務省)は会合の終了後の記者会見

で「進展はほとんどなかった」と述べました。記者団から、交渉がまとまらず、ギリ

シャがユーロ圏から離脱を迫られるのかと問われると「現状はその方向に進んでい

る」と語りました。つまり、現状のまま、ギリシャとの交渉が決裂する可能性が高い

ということのようです。

 

22日に予定されているユーロ圏の首脳会議は、各国の首脳らがギリシャのチプラス首

相に最後通牒を通告する場になりそうで、ギリシャに金融支援の打ち切りを受け容れ

るか財政改革をするのかの二者択一を迫るものとみられます。

 

そんな中で、ギリシャ国内では預金を銀行から下ろす人が急増していて、デフォルト

(債務不履行)を睨んでのギリシャ国民の動きとして注視されています。

 

そして、6月末までにギリシャから返済を受ける側の国際通貨基金(IMF)は返済に「猶

予期間はない」と明言していて、もう、ギリシャの逃げ道はほぼゼロと言ったところ

です。ギリシャが仮にIMFにら返済できずにデフォルトに陥ると、ギリシャでは銀行や

企業の破綻が起きて、ギリシャ経済は大打撃を受けること必至です。また、金融市場

が大きく影響を受けるとギリシャからの資本流失が起こり、ギリシャでは銀行からの

現金引き出しの制限や、国外送金の禁止など「資本規制」に迫られること必定と言え

ます。

 

ギリシャに残された時間はもうありません。ギリシャのチプラス首相は、屈辱を噛み

締めつつもEUの要求を受け入れる以外にギリシャの進む道は残されていないのが実情

ではないでしょうか。そのために、ギリシャ国内ではデモが発生したりと混乱するか

もしれませんが、資本規制よりもまだ、デモで済めばいいと思います。

日本酒は「純国産」のみ

 

国税庁は6月11日、外国産の清酒との区別をはっきりとさせるために国産米や国内の水

を使って国内で醸造された清酒のみを「日本酒」として販売できるようにする方針を

固めたと報道されています。今秋にも、地名を商品名に使う知的財産権である「地理

的表示」に指定し、最近、輸出量は増えているとはいえ、フランスワインのように輸

出の割合が約二割を占めるには程遠い現状を打開するべく、政府は「クールジャパン

戦略」の一環として日本酒のブランド力を高めて海外展開を更に進めようとしていま

す。

 

この酒類の地理的表示は世界貿易機関(WTO)の協定に基づくもので日本も含む加盟国

は指定された特産品を保護し、その地名をその産地以外使わないように取り決めたも

のによるものなのです。

 

海外では現在、和食のブームで、それに乗じて伴い日本酒の消費量も増加しています

が、その額はまだまだと言ったところです。一方で、米国やブラジル、中国などの現

地産の米などを使った清酒の生産が活発化していて、日本酒の生産者など、関係者か

ら日本酒ブランドの保護を求める声が高まっていました。

 

とはいえ、2014年の日本酒の輸出量は十年前の約二倍に当たる約百十五億円に上って

いて、日本国産の日本酒はそれなりに善戦していると言えます。和食が世界文化遺産

に指定されたことにより、和食は世界でブームを迎えていて、それに伴い日本酒の消

費も伸びています。それを更に推進するための政府の今回の方針ですが、フランスワ

インの「ボルドー」「ブルゴーニュ」「シャンパーニュ」、ブランデーの「コニャッ

ク」、スコットランドのウィスキー「スコッチ」などのように日本酒も産地名でのブ

ランド化を進めるのは遅すぎたようにも思えますが、国を挙げて産地名のブランド化

を推し進めるのは日本酒の国内消費が減る中で日本酒が生き残るには当然のことのよ

うに思います。

党首討論

 

6月17日に今国会二回目の党首討論が行われました。しかし、安全保障関連法案に関し

ての与野党の罵り合いに終始していたように見えて、「討論」には程遠いないように

思いました。与野党ともに安全保障に関して自己の見解を大声を出して述べただけ

で、安全保障関連法案に関しては、与野党ともに噛み合わないまま、消化不良に終わ

りました。

 

まず、政府与党の安倍晋三首相は、安全保障関連法案、就中、集団的自衛権の行使の

容認に関して、「合憲」との立場を表明するのみで、その根拠に関しては曖昧なまま

であったのに対して野党、例えば民主党岡田克也代表は、「違憲」との「持説」を

述べるにとどまり、民主党は安全保障に関してどのような立場で、どのような施策を

考えているのか全く伝わって来ず、それでは「問う」立場の野党としては失格だと思

いました。

 

先日、憲法学者が、現在議論されている安全保障関連法案は「違憲」と言明しました

が、しかし、憲法学者は自身が護憲改憲かの立場をはっきりと言明している憲法学

者は少ないような気がします。憲法学者は現行の憲法に対する立場も表明しなけれ

ば、ほとんど安全保障に関しての知識がない一般人にとっては、判断のしようがあり

ません。現在、国会で審議されている安全保障関連法案は「違憲」だとして、それで

は、日本は安全保障に関してどのようなものを、つまり、端的に言えば米国との関係

はどのようにあればいいのかを判断できる言葉を発しなければなりません。

 

現場は政治家に丸投げという憲法学者は、憲法学者と名乗らないでほしいのです。現

在の国際状況において、現行の憲法下では何ができて何ができないのかを明確に示し

てほしいのです。政府与党は苦しい論拠に立って、それでも過激派が世界のあちこち

で紛争を起こしていて、既に日本人も犠牲になっている中、現行の憲法ではどこまで

ができて、どこからできないのかの線引きを示してもらわないことには、学者失格だ

と思います。それがないから、党首討論は全く噛み合わないものになってしまったよ

うに思えて仕方がないのです。