製造業の国内回帰の動き
製造業の国内回帰の動き
円安が長期化する中で、製造業の国内回帰の動きが鮮明になってきています。これま
で、労働力の人件費で中国に全く歯が立たなかったために、日本の製造業は中国に活
路を見出して工場を中国へと移すことを加速していましたが、ここにきて、中国の人
件費の高騰などで、必ずしも海外での生産が価格面で競争力があるとは言えない状態
になっています。
一昔前では、中国の人件費は日本のそれに比べて20分の1であり、これでは日本で生産
するよりも中国で生産した方が製品の競争力は増し、そのために、日本の製造業はわ
れ先に中国へと進出しました。それが、曲がり角を迎えているのです。
既にシェール革命などで競争力が出てきた米国では製造業の米国回帰が進んでいま
す。日本も極度の円高の状態を脱し円安傾向が長期的になるとの観測から、日本で製
造した方が競争力がいい製品が幾つも出てきたのです。とはいえ、日本で生産する製
品は、高品質の製品に現在のところ限られていますが、更に円安が進めば、製造業の
日本回帰は加速するかもしれません。
いづれにしても、長年空洞化と言われ続けてきた日本国内への企業の回帰が進むので
あれば、これは歓迎すべきことです。技術の継承も進むはずです。現在、例えば、ホ
ンダを例にすればタイの従業員の方が日本の従業員よりも技術的に優れている逆転現
象は、解消される筈なのです。そうでこそ、新しいモノ作り、つまり、イノベーショ
ンが起きる素地ができ、日本が活気づくに違いありません。