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イラン核、枠組み合意

イラン核、枠組み合意

 

米欧など6か国とイランは4月2日、イランの核問題の包括的な解決に向けた枠組みの合

意を得たと報じられています。イランが核兵器を製造できない水準まで、ウラン濃縮

能力を10年以上制限するというもので、6月末まで細部を詰め最終合意を目指し、合意

の履行確認後、イランへの制裁は解除されるという道筋のようです。

 

核兵器」の魔力に冷戦終了後、いくつかの国は憑りつかれてしまい、核に手を出し

ました。北朝鮮然り、パキスタン然りです。しかし、その代償は大きなもので、パキ

スタンでは反体制派が今も尚過激な行動に出ていて、国情は安定には程遠く、混乱の

中にあります。北朝鮮は、世界から孤立し、経済制裁が課されたままで、尚、国内状

況は全く改善する余地は残されていません。つまり、餓死者が出るような状況にある

ということです。また、北朝鮮に関しては、日本は拉致被害者の早期帰国を望むばか

りなのですが、「核」を手にした北朝鮮は、「核」が道を開いてくれるといった幻想の

中で自らの置かれている立場をすっかり見失ってしまったとしか思えぬ上層部は、核

の陶酔の中にいるかのようです。

 

そんな中でのイランと欧米各国との合意の道筋が見えたということは朗報なのかもし

れません。しかし、合意の枠組みに関して欧米側とイラン側の解釈が食い違っている

との報道もあり、全く予断を許さない状況にあります。

 

核兵器」はかくも魅力的な兵器なのでしょうか。日本は原爆を広島・長崎に落とさ

れているので、また、福島第一原発事故を経験していますので、拙速に核兵器を持つ

ということはないとは思いますが、しかし、世界情勢次第では日本も核兵器を持つと

いった悪夢が起きるかもしれず、「核兵器」の拡散は、核保有国の大柄な態度によ

り、進行することも考えられ、「核」を手にした人類は「核」がもたらす「万能感」

に陶酔する生き物なのかもしれません。

 

また、ロシアのプーチン大統領が最近しきりに核兵器に関して言及していて、こちら

も予断を許しません。ウクライナ情勢を一気にロシア有利にするべくロシアが核兵器

を使用するものならば、それは欧州にとって、また、世界にって悪夢でしかなく、核

保有国は核兵器に対する幻想を即座に捨てるべきなのですが、一度手にしてしまった

兵器はもう人類史から消えることはなく、核兵器はたぶん、人類が生存し続ける限り

存在し続ける筈です。

 

抑止力という言葉が使われますが、この言葉ほど曖昧模糊としたものはありません。

核の傘という言葉は、核兵器を使用した米国が国際裁判なようなところで裁かれなか

ったがために第二次世界大戦後の米露の核開発競争に拍車をかけて、それに英仏中

国、インドが続きました。

 

第二次世界大戦後にも核実験による死の灰の犠牲者は出続けていて、核が此の世から

消えるということは人類の選択肢には存在しないも同然なのです。核の平和利用とし

ての原子力発電も見様によっては核兵器と同じともいえ、福島第一原発事故を経験し

た日本は、核に関して三度の苦い経験をしたことになります。これに、第五福竜丸

どのビキニ環礁での死の灰の問題なども忘れてはいけません。

 

既に、現実に出現してしまったものを人類は手放すことは歴史を鑑みればありませ

ん。それが兵器ならばなおさらです。人類は核と上手く付き合いながらしか最早生存

できないのです。大量殺戮という「魅力」ある核兵器がもう、この世から消えるとい

うことは泡沫の夢に過ぎず、現実はかくも過酷に人類に迫ってくるものなのです。