ISILが虐殺
AP通信などによれば、イラク政府は3月7日、イラク北部のティクリートで過激派組織
ISIL
(イスラミック・ステート)が昨年6月に虐殺し、地中に埋められたイラク軍兵士の捜索
や収容作業を始めたことを明らかにしました。少なくとも数百体の遺体が埋められて
いると言います。
ISILはかくも残虐な集団なのです。人を殺すことに何のためらいもなく、むしろ人を殺
すことで結束を図るという何やらドストエフスキイの『悪霊』の5人組を思わせる集団
になりつつあります。ドストエフスキイは『悪霊』で、革命にあこがれる人間模様を
描いていますが、革命のためならば、社会の擾乱、人殺し、略奪、懐柔と何でもあれ
の世界を描いていて、その世界は今もなお色あせることはありません。
それは、ISILのやり方がまさにドストエフスキイが描く「革命」という名のもとに何で
も許されるという「幻想」に憑りつかれたものが、聖書の中で豚に憑りついた悪霊が
自らを断罪するために湖に飛び込み溺死するという逸話をモチーフにして描き出して
いますが、この聖書の逸話は、まさにISILに当てはまるのです。
ISILはイスラム教を標榜していますが、それはあまりにも曲解されていて、最早イスラ
ム教とは何の関係もない残虐なテロ組織に成り下がっています。これ以上ISILをのさば
らしておくことは世界にとって不利益でしかありません。「敵は殺せ!」という何百
年にもわたって人類に受け継げられた業をISILに対しても行う疚しさがないではありま
せんが、しかし、ISILを最早人類は放って置くことはできません。ISILが活動している
限り、イスラム国ではISILを真似たテロ組織が人を簡単に殺すというテロが頻発し、無
辜の人々の死を黙って見過ごすことになります。また、ISILの残党が出身国に帰ってた
テロを起こすとも限りません。
世界は現在、テロの恐怖に震えている状況です。これは由々しき問題なのです。対テ
ロ戦争は既に始まっています。不安定化する中東・アフリカ地域でのイスラム過激派
の活動を抑え込むことが喫緊の課題なのです。