世界経済に対する悲観的な見方
4月15日付の英フィナンシャルタイムズ紙は「世界経済、もう輝かないかもしれない未
来」という記事で、世界経済が、低成長に陥り、もう明るい未来が来ないかもしれな
いと、いつになく暗いトーンの記事を掲載しています。
しかし、低成長率の中での生活が暗いものであるとは即座には言えません。フィナン
シャルタイムズ紙の論理で言うと日本の江戸時代では、GDP(国内総生産)の伸び率は
0%と言われていて、低成長率の中での生活を市井の人々は暗い生活を強いられていた
との論理になります。
しかし、日本の江戸時代は決して暗いものではなく、何度となく、飢饉に見舞われ、
財政危機にも見舞われましたたが、市井の人々の暮らしは文化が花開いた爛熟期を迎
えたり、また、倹約の時代を生きていたりと、並はありますが、それは、悲観するも
のではなかったように思います。
仮に、世界経済の成長率が限りなく0%に収束するのであれば、それはそれで受け容れ
るべきではないかと思うのです。中国の成長率の鈍化、先進各国のゼロ金利での低成
長率な社会など最早世界経済はかつての成長していた「青春」の時代が確かにありま
したが、しかし、世界経済の成長率が仮に0%であっても、そこには市井の人々の暮ら
しは引き続き継続しますし、また、日本の江戸時代が決して暗いものでなかったよう
に世界経済の成長率が0%でも全く悲観するものではありません。欧米では、成長率が
0%での生活は歴史上存在しなかったのかもしれませんが、0%の成長率の中での暮ら
しも決して悲観するものではなく、市井の人々は落語で語られるように面白おかしく
暮らすもので、成長率神話に踊らされるべきではないと思います。むしろ、0%成長率
の中での生活の方が質が良いのかもしれないのです。
とはいえ、それは平和な世に限ります。現状のように世界各地で戦闘行為が行なわれ
ている状況では、0%の低成長率社会は暗いものになり、悲観すべき時代の到来を覚悟
しなければならないのかもしれません。