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アジア投資銀の発言権を巡って中国と欧州がさや当て

 

中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の発足に向けての協議が大詰めを迎えて

いるようです。5月20日からシンガポールで創設メンバーの57か国は主席交渉官の会合

を開き、6月中旬の設立協定締結を目指すと言います。しかし、中国と欧州勢とのさや

当てが、出資比率、理事ポストを巡って続いているようです。中国は欧州勢が発言権

を拡大することに難色を示していると報道されています。

 

英国、ドイツ、フランスなど20か国近くがAIIBに参加を決めた欧州勢は「アジア域外

から参加する国への出資比率を計30%に引き上げ、理事ポストも3人から上積みするべ

き」と、中国に迫っていると言い、数の力を背景にAIIBの運営にちょっとでも影響力を

揮いたいようです。しかし、中国はそれを許すまじと出資比率に関してアジアの域内

国に75%、欧州などの域外国に25%を割り当てる方針に変わりがないようです。

 

また、理事会はアジア開発銀行(ADB)を参考に12人体制にする方針で、域外から3人を

選出する予定と言います。

 

AIIBは昨秋に合意した当初は参加国はアジアの21か国でした。しかし、英国がAIIBへの

参加を発表してから雪崩を打ったかのごとくに欧州勢が次々と参加を表明したという

経緯があります。そのために、欧州勢はAIIBを本格的な国際機関に押し上げたとの自負

があると言い、中国の影響力を削ぐことを目指しているようです。

 

しかし、欧州勢の目論見通りに事態が推移する可能性は低いのではないかと思いま

す。中国が主導しているのがAIIBです。アジア各国は中国に従う筈です。その際に、欧

州からの干渉はなるべく少なくし、アジア主導でAIIBを運営することに同意する筈で

す。なにせ、アジア各国は欧州勢の植民地だった過去の歴史があり、AIIBで欧州勢が優

遇される事態は何としてでも避けたい筈です。

 

また、資本金も当初の予定の500億ドル(約6兆円)から大幅に引き上げ、1000億ドルに

近づけることを中国は提案するようだとも報じられています。これは発言権に見合う

負担力があるのかと、中国が欧州勢を揺さぶる狙いがあるといわれ、AIIBにおいて中国

と欧州勢のさや当てはなお波乱含みで続きそうです。