人口減の自治体の知恵比べ
人口減に陥っている自治体が都市部から人材の誘致を目的とした制度を創設してい
て、あちこちの自治体で知恵比べをしています。次世代の一次産業の担い手を呼び込
むための給付制度や起業家向けの低利融資を整備するなどあれやこれやの手を駆使し
て何とか若い世代の移住に結び付けたいという苦しい台所事情が伝わってきます。
例えば、山口県は農林水産業の新規就業者が定着するための独自の給付金制度を設け
ました。農業法人に就業する場合、研修費として5年で420万円を給付します。国の制
度は給付期間が2年ですが、これを延長し、金額も上乗せしたのです。漁業や林業でも
新規就業を支援する給付金を新設しました。漁業では住宅を確保するための空き家改
修費も助成すると言います。
既に地方では人口減が始まっていて、これに歯止めをかけなければ自治体の消滅すら
あり得るという苦境の中、各自治体はそれぞれ無い知恵を絞って若い世代の移住を推
進しています。給付金制度は何も山口県ばかりでなく、その他の自治体でも例えば、
第四子を出産すれば、100万円を給付するなどの制度があり、人口減は待ったなしと言
えます。
一般国民も人口減少社会は何やら危ないと次第に感じ始めているのか、人口減は
「悪」と捉え始めているように思います。それもその筈で、若い世代が減少するとい
うことは老後の支えは若い世代は担えないと最近身に染みて解かり始めたのか、人口
減からの脱却が喫緊の課題としてその施策は第一のものになりつつあります。戦時中
の「生めや増やせや」ではありませんが、そんな切羽詰まったような状況へと地方の
自治体の人たちを駆り立てているように見えます。
人口減が必ずしも悪いことには思いませんが、唯、国力を見た場合、若い世代が少な
い国は国力も落ちていると看做す場合が多いように見えます。
現実に人口減に歯止めがかからない自治体はもうなりふり構わず、打てる手は今のう
ちに打っておかなければという思いは強いようで、現在、都市からの移住者を手厚く
もてなす自治体が多いのが現状です。