神戸児童連続殺人犯が手記を出版
平成九年に神戸で起きた「酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと)」による児童連続殺人のそ
の犯人が、手記を発表し物議を醸しています。この手記の出版に対して殺害された児
童の父親が「私たちの思いを踏みにじるものだ」などと出版の中止を求めています。
この酒鬼薔薇聖斗の事件は酒鬼薔薇聖斗が14歳のときに起こした児童連続殺人事件
で、現在、酒鬼薔薇聖斗は32歳となり、一般社会で暮らしているのです。そのかつて
の酒鬼薔薇聖斗だった加害者が、手記を出版するというのですから、世間の耳目を集
めずにはいられず、既にこの手記は十万部を超えているというような話も報道されて
います。
しかし、被害者の家族にとっては何ともやるせない思いになるのは当然で、この手記
が売れれば売れるほどにその悲しみは深くなるに違いありません。かつての酒鬼薔薇
聖斗はこの手記で、遺族に対しては謝罪の言葉を記し、手記を書いた理由を「自分の
過去と対峙し、それを書くのがたった一つの『生きる道』だった」と説明していま
す。
また、この手記を出版した太田出版によりますと、今年三月にかつての酒鬼薔薇聖斗
が仲介者を通して出版について相談してきて、太田出版の方では「少年事件の加害者
がみずから書いた手記には、大きな意味があると考えました」と述べていて、ここに
は出版社側の売らんがためには何でもする思いが透けて見え、出版社にとっては本が
売れればいいだけであり、被害者家族の心情などどうでもいいに違いないのです。
多分にこのかつての酒鬼薔薇聖斗は元左翼活動家で殺人を犯し、獄中で書き綴った
「天皇ごっこ」などの小説で知られ、自殺した見沢知廉のような最期を遂げるような
気がしないでもありません。
いづれにせよ、この手記に味を占めたかつての酒鬼薔薇聖斗は、尚も物を書くことを
止められなくなり、しかし、そうすることで自身の存在の矛盾に始終悩まされること
になるに違いなく、そうなると二進も三進もゆかずに自死する道を歩むというある決
まったパターンの人生を歩む可能性が高いように思えて仕方ありません。