国立大交付金という名の「強要」
文部科学省の有識者会議は、国立大学に配分する運営費交付金に関して、地域に貢献
する大学や世界トップ水準の研究を目指す大学など、国立大学を三つの枠組みに分類
し、その取り組みや実績が高く評価された大学に交付金を重点的に配分する方針を決
めたと報道されています。
この中で、削減するべきと名指しされているのが教員育成系や人文社会学系の学部や
大学院に関して廃止を含め、他の分野への転換を図るという暴挙を推し進めようとし
ています。現在、大学の教育学部や人文系の社会学科の大学教授の発言が、ほとんど
聞こえてこないのは何としたことでしょうか。Twitter上では幾人かの大学関係者が、
このことについて反対を表明していますが、しかし、それもごく一部の人に限られて
いて、全く文科省の言いなりのままに、人文学系の学部の消滅に対して無関心である
ことが不思議でなりません。
大学が短期的な視点で実績を追い始めると碌なことがありません。大学は直ぐに実績
を見える形で見せられなくとも後々役に立つかもしれないかもしれないものに対して
こそ、その人材は育成されるべきです。有識者が直ぐには役立たないと看做してしま
っている人文系の学部は、その存在は保障されるべきなのです。例えば文学も哲学も
わざわざ大学で勉強するまでもなく独学でもできると有識者は看做しているのか、そ
の余りに不見識なさまは名状し難い程に残念でなりません。余りにも見解が短絡過ぎ
て開いた口が塞がらないのです。確かに小説家や哲学者は大学で勉強しなくても偉大
な人は必ず出現するとは思いますが、それを見出だすのは大学人の役目ではないでし
ょうか。大学が最後の砦なのです。大学で文科系の人材を蔑ろにすることは国家百年
の計において愚策極まりありません。大学側では文科省に最後の最後まで抵抗して人
文系の学部を守ることを望みます。