党首討論
6月17日に今国会二回目の党首討論が行われました。しかし、安全保障関連法案に関し
ての与野党の罵り合いに終始していたように見えて、「討論」には程遠いないように
思いました。与野党ともに安全保障に関して自己の見解を大声を出して述べただけ
で、安全保障関連法案に関しては、与野党ともに噛み合わないまま、消化不良に終わ
りました。
まず、政府与党の安倍晋三首相は、安全保障関連法案、就中、集団的自衛権の行使の
容認に関して、「合憲」との立場を表明するのみで、その根拠に関しては曖昧なまま
であったのに対して野党、例えば民主党の岡田克也代表は、「違憲」との「持説」を
述べるにとどまり、民主党は安全保障に関してどのような立場で、どのような施策を
考えているのか全く伝わって来ず、それでは「問う」立場の野党としては失格だと思
いました。
先日、憲法学者が、現在議論されている安全保障関連法案は「違憲」と言明しました
が、しかし、憲法学者は自身が護憲か改憲かの立場をはっきりと言明している憲法学
者は少ないような気がします。憲法学者は現行の憲法に対する立場も表明しなけれ
ば、ほとんど安全保障に関しての知識がない一般人にとっては、判断のしようがあり
ません。現在、国会で審議されている安全保障関連法案は「違憲」だとして、それで
は、日本は安全保障に関してどのようなものを、つまり、端的に言えば米国との関係
はどのようにあればいいのかを判断できる言葉を発しなければなりません。
現場は政治家に丸投げという憲法学者は、憲法学者と名乗らないでほしいのです。現
在の国際状況において、現行の憲法下では何ができて何ができないのかを明確に示し
てほしいのです。政府与党は苦しい論拠に立って、それでも過激派が世界のあちこち
で紛争を起こしていて、既に日本人も犠牲になっている中、現行の憲法ではどこまで
ができて、どこからできないのかの線引きを示してもらわないことには、学者失格だ
と思います。それがないから、党首討論は全く噛み合わないものになってしまったよ
うに思えて仕方がないのです。