アップルの音楽聴き放題の対価に対する米人気歌手の批判
米アップルは6月22日、6月30日に始める定額料金で音楽聴き放題のサービス「アップ
ルミュージック」で、登録後三か月の無料視聴期間中、当初、アーティストにその対
価を支払わない方針でしたが、米人気歌手のテイラー・スウィフトさんからそれは
「不公平」との批判が出て、方針を転換し、アーティスト側に一定の対価を支払うこ
とにしました。
当初、アップルでは無料期間中の支払いがない契約を音楽会社と結んでいたようです
が、スウィフトさんから「無料期間中に対価を支払わないのはがっかりした。新進の
音楽家にとって三か月支払いがないのは厳しすぎる」とアップルを非難していまし
た。この後、独立系を中心に他のアーティストからも次々と賛同の声が上がり、アッ
プルは方針を転換せざるを得なかったようです。
しかし、音楽家はこれからもしかすると受難の時期を迎えるかもしれません。音楽の
聴き放題のサービスは何もアップルのみならず、ストリミングによるスポティファイ
など、サービスが乱立していて、それも格安での聴き放題ですので、アーティストの
作品に対する対価は、CDで音楽を聴くことが普通であった時代の巨額の著作権料が入
った時代に比べると、音楽配信サービスによる対価はかなり低額になること必至で
す。
だからと言って音楽家、つまり、アーティストを目指す若者が減るかといえば、そん
なことはなく、このネットの時代、誰もがアーティストとして作品をネットにて配信
することが可能になり、プロとアマチュアの壁がなくなると思います。その中で生き
残る作品のみが時代を超えて聴かれる筈で、これは何も音楽家に限った話ではなく、
作家や新聞記者など、誰もが発信できる時代の中で、媒体が大きく変わる転換点を迎
えていて、それに揉まれながらも、多くの人に支持されるものが生き残ってゆくとい
う過酷なネット時代を迎えたと言えます。