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ISILは自滅する?

ISILは自滅する?

 

ISIL(イスラム国)が策に溺れて自滅するのではないかと、2月6日付の英フィナンシャ

ル・タイムズ紙が書きたてています。過激派組織ISILはその残忍さで、世界中にセンセ

ーションを巻き起こし、たぶん、ISILが目論んでいたのはISILの周辺国の国民の分断を

狙っての残忍な人質の殺害だったのであり、現時点では、トルコのクルド人イラク

クルド人との間に分断をもたらし、また、レバノンシーア派民兵運動・ヒズボラ

もシリア内戦に引き込むことに成功しています。このレバノンでのヒズボラの動き

は、今もなお宗派間の対立がくすぶるレバノンの国内に不和の種を撒撒くことに成功

しています。

 

以上の点を見れば、ISILの残忍さは十分に成功を終え冷めていると看做せるのですが、

しかし、それは、現在のみの動きであって、ISILに対してはスンニ派の高僧からも批判

の声明が出るなど、その包囲網は狭まっているのです。

 

残酷なことを言えば「血」は団結をもたらすものです。ISILが残忍に人を殺めれば、そ

れだけISILの団結力が増すのと同じように、反ISILの有志連合の団結力もまた、増すの

です。

 

策士策に溺れるとは古い言葉ですが、ISILが見せしめのために人質の殺害を残虐極まり

ない方法で行ったのであれば、それは、失敗していると思いたいのです。対ISILは既に

シリアとイラクの二国の問題ではなく、世界各国の問題になっています。これからも

テロの時代がしばらく続くと思われますが、民主主義は果たしてテロに堪え得るのか

試されることになります。

 

また、ISILが動画サイトにアップしたその人殺しの映像がハリウッド風であるという指

摘があるのは、ISILが人を殺すことでISILの存在を喧伝することに徹しているからに過

ぎません。しかし、それはいみじくもISILの実態が今にも崩れそうなのを無理矢理に人

殺しを行うことで共犯関係という絆ででしか最早ISILの構成員の気持ちを繋ぎ止めるこ

とができなくなっている窮状を示しているともとれるのです。日本の連合赤軍のよう

に最後は粛清の嵐が吹きわたり、自滅することになるのが、ISILの行く末ではないかと

思います。しかし、ISILの残党は世界に散らばって、各地でテロというゲリラ戦を行う

かもしれません。そのときに民主主義が試されます。日本ではオウム真理教のテロ攻

撃がありましたが、それでも日本は何とか持ちこたえて、民主主義を保持していま

す。ISILに呼応する組織がアフリカ・中東で続発していますが、それらもまた、既に残

虐な人殺しででしか構成員の気持ちを繋ぐことしかできない状況に追い込まれている

のではないかと思いたいです。もう人殺しの映像なんて見たくありません。