イエメンで自爆テロ
イエメンで自爆テロ
チュニジアにづいて中東のイエメンで3月20日、首都サヌアにある二か所のイスラム教
礼拝所(モスク)を狙った自爆テロがあり、140人以上が死亡したと報道されています。
中東のメディアは過激派組織ISIL(イスラム国)が犯行声明を出したと盛んに報道してい
るようです。
爆破されたのは金曜礼拝が行われていたイスラム教シーア派の武装勢力「フーシ派」
の幹部が礼拝していたモスクです。イエメンではフーシ派が事実上のクーデターでサ
ヌアを制圧。ハディ大統領は南部アデンに移って執務を続けていますが、イエメンは
現在、分裂状態にあります。ISILはイスラム教スンニ派を表面上は信仰しているテロ組
織で、フーシ派とはそもそも対立関係にあります。
今回の自爆テロの背後にこうした宗派対立があるのは間違いありません。それを利用
してのISILの犯行声明ともとれて、真相はまたしても解からぬままなのですが、中東が
これまでになく、どの国も危機的状況にあるのではないかと懸念されます。
フーシ派は同じイスラム教シーア派のイランが支援しているとされ、アラビア半島で
シーア派が勢力を強めることにサウジアラビアなどのスンニ派のペルシャ湾諸国は懸
念しています。また、イエメンが内戦状態に陥れば、リビアやソマリアのように過激
派の温床になりかねません。そして、これが重要なのですが、イエメンは紅海の入り
口に位置する国です。イエメンが仮に渾沌とした状況になるとタンカーに危害が加わ
る可能性が否定できず、エネルギーの物流に影響が出ることは必定なのです。