原油安で物価伸び悩み
原油安で物価伸び悩み
日銀が掲げていた2015年の物価上昇率2%という目論見は原油安で後退した感がありま
す。1月21日の金融政策決定会合では、2015年度の物価上昇率を前年比1.0%に下方修
正しました。これは原油安によるものです。
原油の下落が止まりません。そのために、物価上昇率を押し下げる圧力となってしま
っています。しかし、原油安は日本のように資源がない国にしてみれば歓迎すべきも
ので、原油安により物価上昇率2%の下方修正もやむなしと思います。それよりも、原
油安により、消費支出の燃料や光熱費の占める割合が減り、それだけ購買力が増すと
考えれば結構なことなのです。そうすると物は売れだし、物価は自然と上がる筈で
す。無理強いに「異次元の量的緩和」を行って物価上昇を促そうとしても市場の動向
次第でそれは水の泡になりかねません。
とにかく、現在、ようやく消費税増税の影響がなくになりつつある中で、物価上昇の
数字ばかりにこだわるリスクにも思いを馳せて、日銀は柔軟な金融政策を行ってほし
いです。物価上昇率2%に無理にこだわる必要はないように思います。市場関係者は、
それは約束違反と日本売りに走るかもしれませんが、それもまた、自然な流れとして
しっかりと受け止めて、日銀は金融政策を柔軟に決定する余地を残しておくべきで
す。自らの言動によって縛るものではありません。2015年度の物価上昇率が1%でも構
わないと思います。それよりも、消費者の購買意欲が高まることの方がずっと大切で
す。