米の公務員年金問題
米国の公務員年金問題が世界経済のリスク要因として浮かび上がっています。5月8日
「2013年の年金改革は違法」との判決が米イリノイ州最高裁により下されました。こ
れは、2013年に州議会が可決した公務員年金の実質的な減額を含む年金改革法の有効
性に関する裁判なのですが、この裁判で退職手当の削減を禁じた州憲法に違反すると
して公務員労組側が勝訴したのです。
米国の公務員年金問題は深刻のようで、現状のまま何の手だても打たなければ、2018
年には年金が干上がってしまうと言われているのです。米国の公務員は手厚い年金で
保護されています。しかし、そのことで、州単位では公務員年金が途轍もない重荷に
なり、州政府が身動きが取れない状況に陥っているのが現状のようです。
簡単に言えば、これは米国にある不良債権で、リーマン・ショックのようなものが米
国発で起きないとも限らないのです。中長期的に公務員年金に関して改革をしなれ
ば、増税や公共サービスの縮小など住民生活に大きな負担をかけることになるので
す。
これは何もイリノイ州に限った問題ではないのです。カルフォルニア州を始め、全米
の各州がイリノイ州と同様の問題を抱えています。米国は訴訟の国柄です。州政府が
公務員年金の減額等の改革を行うとすると労組がそれに反旗を翻し、直ぐに裁判沙汰
になるのは目に見えています。それを承知で模州政府は改革を断行しなければ米国は
混乱します。このリスクの根を絶たなければ、世界経済に与える影響は計り知れない
ものになるかもしれません。