日本酒は「純国産」のみ
国税庁は6月11日、外国産の清酒との区別をはっきりとさせるために国産米や国内の水
を使って国内で醸造された清酒のみを「日本酒」として販売できるようにする方針を
固めたと報道されています。今秋にも、地名を商品名に使う知的財産権である「地理
的表示」に指定し、最近、輸出量は増えているとはいえ、フランスワインのように輸
出の割合が約二割を占めるには程遠い現状を打開するべく、政府は「クールジャパン
戦略」の一環として日本酒のブランド力を高めて海外展開を更に進めようとしていま
す。
この酒類の地理的表示は世界貿易機関(WTO)の協定に基づくもので日本も含む加盟国
は指定された特産品を保護し、その地名をその産地以外使わないように取り決めたも
のによるものなのです。
海外では現在、和食のブームで、それに乗じて伴い日本酒の消費量も増加しています
が、その額はまだまだと言ったところです。一方で、米国やブラジル、中国などの現
地産の米などを使った清酒の生産が活発化していて、日本酒の生産者など、関係者か
ら日本酒ブランドの保護を求める声が高まっていました。
とはいえ、2014年の日本酒の輸出量は十年前の約二倍に当たる約百十五億円に上って
いて、日本国産の日本酒はそれなりに善戦していると言えます。和食が世界文化遺産
に指定されたことにより、和食は世界でブームを迎えていて、それに伴い日本酒の消
費も伸びています。それを更に推進するための政府の今回の方針ですが、フランスワ
インの「ボルドー」「ブルゴーニュ」「シャンパーニュ」、ブランデーの「コニャッ
ク」、スコットランドのウィスキー「スコッチ」などのように日本酒も産地名でのブ
ランド化を進めるのは遅すぎたようにも思えますが、国を挙げて産地名のブランド化
を推し進めるのは日本酒の国内消費が減る中で日本酒が生き残るには当然のことのよ
うに思います。